第206回・森で遊ぶ会(富士山・太郎坊)実施報告
日時: 2024年7月247日(月) 10時40分~14時30分(現地)
場所: 富士山・太郎坊周辺(御殿場口新五合目)
参加者: 19名(静岡市 16、藤枝市 3)
担当幹事: 佐野、青野
アシスト会員: 越智、大石、小久保、小嶋、小長井、杉山、高橋
実施状況:
夏に開催する「森で遊ぶ会」は、暑さを避けるために標高の高い場所を選んで実施している。そこで、今年は富士山の太郎坊で開催することにした。また行程にJAふじ伊豆のファーマーズマーケット(う宮~な)を組み入れ、現地に行く途中、ショッピングを楽しんでいただく企画とした。
今回の観察会は、太郎坊の北端にある御殿場口五合目(標高1450m)から火山荒原を少し登り、樹林帯の中を幕岩方面に向かって進むコースを設定した。御殿場口五合目は、4か所ある富士山登山口五合目で一番低い場所に位置している。宝永噴火の影響を受け、スコリアの火山荒原が広がり、森林限界も登山口の中では最も低い所である。
五合目の駐車場周辺にも樹木や草花が多くあるので、この場所から観察会をスタートした。カラマツ、イヌエンジュ、ヤマハンノキ、フジアザミ、ヤマホタルブクロ、ルイヨウボタンなどが確認できた。フジアザミ、ルイヨウボタンの開花は未だ先のようであったが、イヌエンジュは開花が始まっていた。駐車場の西側から火山荒原に向かう途中にイケマ(アサギマダラ幼虫の食草)やフジイバラもあった。スコリアに覆われた火山荒原には所々にイタドリのパッチが目につき、砂礫の移動がなく小高くなった場所にはヤマハンノキやカラマツが自生していた。ここでは森林が形成されていく様子を観察しながら、植物の遷移について理解していただいた。
火山荒原を登り案内板を幕岩方面に左折し、樹林帯に入った。やや上り坂ではあるが歩きやすいコースであった。ダケカンバ、カジカエデ、ナナカマド、ウラジロモミ、トウヒ、ヤシャブシ、ノリウツギ、ハナヒリノキ、オニシバリ等の樹木や、ヤマブドウ、ツルアジサイ、イワガラミの蔓植物の他、シロバナノヘビイチゴの赤い実や、ヤマトウバナの白い花を観察することができた。5日前の下見時に確認したオニシバリの赤い実も、今回参加者に観て欲しかったがほとんどが落ちてしまい、数個しか残っていなかった。しかし、赤色のきれいな実を観てもらうことができたことだけでも幸運だったかもしれない。
昼食は途中の平坦な場所で摂った。樹林帯の中は日差しが遮られ、しかも風が通り抜ける場所だったので、昼寝をする方もいた。熱中症警戒アラートが連日発令されている酷暑の下界とは雲泥の差で、この場所に留まっていたい気持ちになった。
帰りは来たコースを戻りながら観察を続けた。見逃した植物も多くあり、ノリウツギ、ムラサキシキブ、ツタウルシ、ヤマシャクヤクの他に、腐生植物のオニノヤガラも見つけることができた。オニノヤガラは、観察の終盤になって見つけたので、各班が離れてしまい全員の方に観てもらうことは出来なかったのが残念であった。
樹林帯の植物だけでなく、火山荒原の植物も知ってもらうことができた。厳しい環境下で生きる彼らの逞しい姿や、森が形成されていく植物の遷移についても理解していただけたと思う。宝永山より山頂方面の壮大な眺望は望めなかったが、暑くもなく寒くもなく快適な観察会を行うことができたので、皆さんも満足いただけたのではないかと思う。
詳しくはこちら ⇒ http://shinrinshizuoka.com/wp-content/uploads/2024/07/第206回森で遊ぶ会(太郎坊)202407・実施報告.pdf