第209回・森で遊ぶ会(接岨峡)実施報告
日時: 2024年11月11日(月) 10時30分~14時30分(現地)
場所: 接岨峡(静岡県・川根本町)
参加者: 29名(静岡市 24、藤枝市 5)
担当幹事: 青野、小久保
アシスト会員: 越智、小嶋、佐野、杉山、高橋
実施状況:
大井川上流の接岨峡は曲がりくねった深い峡谷で、昔は川根方面から井川に通じる唯一の道が通っていた所だ。すぐ隣の寸又峡は観光地として有名だが、同じような環境の接岨峡には訪れる人も少ない。更に基点の接岨峡温泉からその先の閑蔵まで、この険阻な峡谷をバイパスするトンネルが出来てから、この峡谷沿いの旧道に足を踏み入れる人は更に減っている筈だ。この道は車道だが、途中で崖崩れのため通行止めのこともあって事実上は廃道になっている。しかし接岨峡温泉から2Kmほど先の関ノ沢展望所までは通行可能になっているので、今回はそこを歩いてみることにした。
峡谷に沿うこの旧道は急斜面の中腹に刻まれた道で、峡谷を見下ろしながら展望所まで緩やかに登って行く。道の山側は切り立った崖で、谷側は深い谷に落ち込んでいる。そして谷側の路肩にはカエデ類やシデ、ケヤキなど落葉樹が生い茂っている。溪畔木であるカエデ類はいろいろあったが、暖かい日々が続いたせいか紅葉にはまだ早かった。またこの時期草花は少ないが、崖の岩場に咲くイワシャジンの可憐な花が参加者を大いに喜ばせてくれた。
この旧道のある対岸には大井川鐵道・井川線の軌道があり、千頭から井川ダムを結ぶ観光トロッコ列車が走っている。旧道を植物観察しながらゆっくり歩いて展望所に昼過ぎに着くと、ちょうど昼食時に対岸の関ノ沢橋梁をトロッコ列車が通過するのを見ることができる。2時間に1本くらいなのでピンポイントだが、今回は橋梁をゆっくり渡って行く真っ赤なトロッコ列車を狙い通りに見ることができた。昼食中に列車の音が聞こえると、皆が一斉にカメラを構えた。
その後は起点の接岨峡温泉まで同じ道を戻り、バスに乗って帰りがてらに近くの二つの観光ポイントにも立ち寄った。先ずポスター等でお馴染みの井川線レインボーブリッジと湖上駅の景観だ。実際に湖上駅まで行く時間はないので、これは県道脇のビューポイントから見下ろしてもらう事に留めた。次は長島ダムでダム湖や放水を見てもらうと同時に、日本一の急勾配を誇る井川線のアプト軌道をダムの堰堤から見てもらった。計画通りの時間で歩いてもらえば、そこでもアプト式のトロッコ列車がこの軌道を登ってくるのを見ることができる。むろん当会の趣旨は自然観察でありこうした観光はオマケに過ぎないのだが、ここでもタイミングがピッタリで皆でその光景を眺めることができた。
今回実施に際して特に留意したことが一つある。それはヤマビル対策だ。隣接する寸又峡では度々ヤマビルの被害が報告されているので、接岨峡でも同じ状況が懸念された。もう11月も半ばになるのでヤマビルの活動期は終わっているかも知れないが、例年になく気温が高いので用心することにした。参加者には極力スパッツを着用してもらい、また忌避剤のスプレーを用意して出発前に全員の足元に充分吹きかけてもらった。そして歩き始めると実際にヤマビルが現れ、参加者の足元に近づいて来たのだ。大騒ぎしつつ皆で取り囲んで、呼気に反応する様子などを観察した。事前に注意を呼びかけ対策もとっていたので、結果的にヤマビル被害に遭った人は出なかった。
紅葉を見ながら峡谷沿いの道を歩くという狙いで企画したイベントだが、残念ながら紅葉にはまだ早かった。しかし井川線の列車を眺めるなど、普段とはひと味違う観察行を皆さんに楽しんでいただけたようだ。
詳しくはこちら ⇒ http://shinrinshizuoka.com/wp-content/uploads/2024/11/第209回森で遊ぶ会(接岨峡)・実施報告書.pdf