2024年秋の研修会(青木ヶ原・大室山)実施報告

日時: 2024年11月21日(木) <日帰り>

実施場所: 大室山ブナ林、環境省生物多様性センター自然観察路

参加会員: 9名

担当幹事:  佐野、小長井

他、参加会員: 青野、大石、越智、杉山、高橋、早川、矢下

実施状況:  

例年、1泊2日で開催している研修会であるが、今年は山梨の近場ということもあり日帰りで実施した。約10年前に初めて訪れた大室山のブナ林では、林の中に堂々と立つブナやミズナラの巨樹に感動した記憶があった。しかし最近行ってみると、ナラ枯れの影響も受けて命を終えようとする姿を目の当たりにして愕然とした。姿を消す前に、会員に観てもらいたいという幹事の思いがあり、ここを研修場所に選定した。また、環境省の生物多様性センターの自然観察路は青木ヶ原樹海を代表する樹木を観察することができるので、併せて研修場所とした。以下、研修内容について紹介する。

≪大室山ブナ林≫

 入口で大室山、青木ヶ原樹海、ブナ林の成り立ちについて配布資料を使い予備知識を得た後、ゲートからブナ林に向かって観察を開始した。ヒノキ、アセビ、ソヨゴ、クロソヨゴなどが多く、所々にコミネカエデ、ミズナラ、ブナ、タカノツメ、コシアブラなどの落葉広葉樹が目についた。また、樹海は様々なコケ類が生えていた。今回の研修場所は、コケの勉強には最適なので、事前に作成しておいた12種のコケの写真と照らし合わせながら、特徴について学んだ。日本には1700 ~1800種ものコケが存在するといわれているので、種を同定することは至難の業である。そこで、今回は「ジャゴケ」のような特徴的なコケをルーペで観察しながら学習した。この場所はコケの種類が非常に多く、コケ好き人にはたまらなく魅力的な場所であった。

  観察を進めると、急に明るく開けた空間、ブナ林に到着した。ブナ、ミズナラ、カエデ、シデ、ヤマブドウなどを確認することができた。林内は落葉したばかりの葉で埋め尽くされていた。イヌブナが多く、ブナとイヌブナの葉を見比べ、その違いを確認した。葉脈の数、葉裏の伏毛の有無など、比べてみると違いがはっきりとわかった。幹回り約5m、樹高約30m、樹齢300年以上といわれるブナの巨樹の姿は圧巻だった。しかし、樹幹の上部で折れた太い枝が地上に落下し、寿命が迫っていることが伺えた。ミズナラの巨樹は倒木の危険性があるということで、周囲には立ち入り禁止のワイヤーが張られていた。この巨樹も命が絶えてしまうことを思うと非常に残念な気持ちになった。

  低所には、針葉樹の巨樹も所々に見られた。トウヒに比べてやや丸みを帯びた球果が落ちていた。その球果と思われる巨樹があり、樹肌からハリモミのようであった。ブナ林内には次世代のブナは生えておらず、いずれブナは消滅してしまうのではないかと心配になった。ブナ林の北側に、まだ落葉していない一角があったので、ここで記念写真を撮り次の研修場所へ向かった。

【環境省生物多様性センター】

  観察路はアカマツ主体の林内に設置されていて、平坦で歩きやすく樹木観察には良い場所であった。観察路は生物多様性センターから山梨県富士山科学研究所まで続いていたので、そちらのコースも併せて観察した。

  観察路に入り、樹木を中心に観察した。ここでは、青木ヶ原樹海を代表する樹種を観察することができた。アカマツ、カラマツ、ソヨゴ、ミツバツツジ、コシアブラ、ダンコウバイ、ネジキ、ウリハダカエデ、ウリカエデ、イヌシデ、コミネカデ、ツクバネウツギ、ナツハゼ、コハウチワカエデ、ヒロハツリバナ、ナンキンナナカマド、マルバアオダモ、クロモジ、アズキナシ、オトコヨウゾメ、ツノハシバミ、リョウブ、ヤブウツギ、ヒナウチワカエデ、クマノミズキなどを観察した。ヒロハツリバナの葉は、緑が抜けて白っぽい色合いで、最初、樹種がわからなかったが、樹名板がついていたのでわかった。樹名板の有難味を知った。 目に付く草花はなかったが、唯一、灌木に巻き付いたツルリンドウが赤い実を付けていたのが印象的であった。ホンドリスも生息しているようで、数人が目撃した。

  コースを一周回り、出発した場所に戻ってくることができた。ほぼ予定通りであった。この観察路は平坦で整備されているので、子どもや年配の方でも安心して散策できるので、是非、来訪して頂きたい場所であった。

 

詳しくはこちら ⇒ http://shinrinshizuoka.com/wp-content/uploads/2024/11/202411_研修会(大室山ブナ林)実施報告書.pdf


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