講師派遣・実施報告書(静大教育学部・自然観察野外実習)
- 実施日時 令和7年11月6(木) 13時~16時30分
- 実施場所 静岡市駿河区 県立美術館周辺の森
- 実施主体 国立大学法人 静岡大学教育学部
- 派遣講師 NPO森林インストラクターしずおか
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- 杉山(代表)、小長井、佐野
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- 参加者 静岡大学教育学部: 学生 15名、教授 1名 合計 16名
概要
昨年もこの自然観察実習のガイドの委託が我々にあったが、好評だったということで今年も同様な依頼があった。そこで昨年と同様に、県立美術館の周辺の森で自然観察の実習を行うことにした。ここには散策するのに手頃な森が広がっている。散策路の周囲には植栽された樹木も多いが、多彩な樹種が見られると共に有度山北麓の一部をなすこの一帯では豊かな自然を体感することができる。
今回は季節がら果実が多く実る時期なので、動けない植物たちが行う果実の種子散布の方法を知ってもらうことに的を絞った。また、植物が子孫を残すための知恵についても解説することにした。参加者には3つの班に分かれてもらい、それぞれにインストラクターがついて植物を観察しながら森の中を歩いた。
種子散布の事例としては、次のようなものを観察した。トウネズミモチ、イヌビワ、ウメモドキ、エノキ、シロダモ、マサキなど赤や黒、オレンジ色に熟し、視認されやすく変色する鳥散布植物。ユリノキ、イロハカエデ、ケヤキ、アオギリ、蔓植物のセンニンソウなどの翼や毛、葉などを利用する風散布植物。アラカシ、コナラ、マテバシイ、トチノキ、スダジイなどリスやネズミ、カケスなどで見られる貯食行動を利用したり、アレチヌスビトハギやチヂミザサ、イノコズチなど人や動物などに引っ付いて移動する動物散布植物。トサミズキ、アセビなど自分で飛び散る自発散布植物。このように植物により、散布の方法が違うということを知ってもらった。また、鳥散布植物の果実は赤色ばかりではなく黒くも熟すのだが、これは鳥の色覚が人と違い紫外域の色も見えていることを植物が知っている、という事を示している。こうした植物の知恵を、学生たちは新たな驚きとして感じてくれたようだ。 
ガイドウォークを終えた後、野外で更に「ミニ講座」を開いた。その中では特に鳥散布について、果実が熟す時期と鳥との関係について考察した。まず、この季節に果実が熟す樹種27種とそれぞれの果期、その種に集まり果実を食べ種子を運ぶメジロやシジュウカラ、ヒヨドリ、ムクドリなどの留鳥に対し、アカハラやルリビタキなど冬に日本の高標高地や寒冷な北部から暖地に移動する漂鳥、ツグミ、ジョウビタキ、ヒレンジャク、キレンジャク、シロハラなどの越冬のため北方より日本にやってくる冬鳥とに分け、それらを表にまとめてその関連性を考えてみた。また、何故日本を越冬場所に選ぶのかも併せて考察した。参考のため、初夏に渡りをする夏鳥についても紹介し、初夏に繁殖地として日本へ渡ってくるのか解説した。
この自然観察実習を通じて、すべての生き物は、他の生き物を利用したり、それぞれが繋がりをもって生きていることを知ってもらった。視点を変えてみると、何気なく見ていた生き物たちには、それぞれ巧みな生き方があることを知っていただけたようで、自然観察の面白さがわかっていただけたのではないだろうか。
詳しくはこちら ⇒静大教育学部_自然観察野外実習報告(20251106)
