2023年秋の研修会(山梨 健康の森、他)実施報告

日時: 2023年10月31日(火)~11月1日(水) <一泊>

実施場所:(野外研修)山梨 健康の森(1日目)、

清里自然歩道「富士山とせせらぎの小径」(2日目)

(室内研修)長野県諏訪郡富士見町 八峰苑鹿の湯

参加会員: 12名

担当幹事:  杉山、佐野

他、参加会員: 朝比奈、越智、喜多、小久保、小嶋、小長井、瀬下、高橋、早川、矢下

実施状況:  

【1日目】 ≪山梨 健康の森≫

 健康の森は、甲府市街地のすぐ北にある丘陵で、甲府市の方がよく利用しているところである。丘陵の南側と北側では植生に違いが見られ、それを知るのも面白かったのだが、時間の制限もあり傾斜が緩く明るい南側のコースを歩くことにした。このコースの特徴は南斜面であるがゆえにコナラ、クヌギ、ミズキなどの陽樹が多いことだが、それにヤマコウバシとハクウンボク、ムクロジが非常に多い事も特筆できる。(ムクロジは植栽かも知れない。)森を進むとホウノキ、オニグルミ、ダンコウバイなども次々に出現した。この時期は色々な果実や冬芽が見られるのも楽しみの一つだ。ヤマコウバシはクスノキ科らしい形の黒い果実をつけており、黄葉真っ盛りのダンコウバイは、特徴的な葉芽と花芽をつけていた。ムラサキシキブも紫の実をたわわにつけていた。

 ここにはクヌギやオニグルミも多く、ドングリやクルミは拾い放題。動物ばかりでなく、人にとってもなんとも嬉しい森である。普段あまり目にしないオオバアサガラが果実の残骸を垂らしていた。初めて目にする会員もいて、写真に収めたりした。当初は森林学習展示館や展望台へも足を延ばそうと思っていたが、研究熱心なインストラクターの面々、「これがどーの、ここがどーの」と言いながら、なかなか前に進まない。結局、皆ほどよく疲れて屋外研修は予定通り終了、そのまま長野県富士見町の宿泊施設へ向かった。

≪座学「哺乳動物の体とくらし」≫

 宿に入ると、すぐに座学での研修が始まった。講師は、佐野インストラクター。動物、とくに哺乳動物についてその生存に関わる感覚器官(五感)について各感覚ごと、体の部位ごとに話してもらった。動物にとっては五感の発達が生命維持に直結し、嗅覚、視覚、聴覚のいずれかが特に発達して、それにより暮らし方が決まってくる。目の位置や瞳の形による見え方の違いが動物毎の生活スタイルに直結していること、草食や肉食により歯の配置が違うこと、四つ足動物の歩き方もそれぞれ敵から身を守る上で最適化されていることなど、興味を引く話が次から次へと飛び出した。動物毎の食べ方、飲み方、糞の違いなどについても知らないことばかりで、大変勉強になった。

【2日目】 ≪清里自然歩道「富士山とせせらぎの小径」≫

好天が約束された日で、早朝の甲斐駒ヶ岳がモルゲンロートに染まった。宿舎の周辺はドンピシャの紅葉で、清里へ向かう車窓からは真黄色のダンコウバイやカエデのオレンジや鮮やかな赤のグラデーションが。物見遊山の旅ではないが、ついつい見とれてしまった。東沢大橋では、見事な紅葉を前景に八ヶ岳主稜線が晴天の空に聳えていた。ここに、黄葉した1本のヤナギの仲間があった。「アカメヤナギ、いやバッコヤナギ、さあどっちかな?」、こうして始まった研修2日目。「さあどっちかな?」方式で、清里自然歩道の「富士山とせせらぎの小径」を歩くことになった。

 ウラジロモミでは軸だけが残った球果が目につき、周囲には飛び散った種鱗が落ちていた。歩きだすとサラサドウダンの急に上を向く果実、ノイバラやガマズミの赤い実などが熟期を迎えていた。その先には立派なヤマブドウがあり、高いところに果実が残っているのが望遠カメラで確認できた。ヤナギの前では、「シロヤナギ、オノエヤナギ、さあどっちかな?」。淡い緑の葉に赤い実がびっしり着いていたので、「ウメモドキ、アオハダ、さあどっちかな?」。答えを引き出すために、葉や樹皮、冬芽などの特徴を見ることでしっかりと覚えることができる。

 いかにも枯れたダケカンバのような木が現れた。幹を触ってみると冷たく堅く、樹皮はガサガサで幾重にも剥がれている。カバノキ科であることは察しがついたが、図鑑で調べてみるとヤエガワカンバ(八重皮樺)だった。この近辺だけで見られる希少種のようだ。図鑑では知っていたが、実物に出会ったのは初めてであった。

 前日の健康の森とこの清里自然歩道とでは全く植生が違う。このことには、会員の皆さんが気付かれたと思う。また似た者同士の違いを、葉や樹皮、冬芽、果実など様々な情報をもとに確認できたことと思う。図鑑の有効性も理解できたと思う。みんなで考えながら1本1本確認していくことで得る情報も多い。こうしたことが研修会の大きな意義であろう。 天気、ロケーションとも素晴らしく、和気あいあいと楽しい研修会になった。

詳しくはこちら ⇒ http://shinrinshizuoka.com/wp-content/uploads/2023/11/202311_研修会(武田の杜)実施報告-.pdf


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