高山・市民の森 森林教室実施報告<生きものの顕微鏡観察>

  1.  実施日時   令和6年6月23(日) 11時~14時30分
  2.  実施題目  森の散策、及び生きものの顕微鏡観察
  3.  参加講師名  森林インストラクターしずおか
    • 主担当:   小久保、佐野
    • アシスト: 青野、越智、小嶋、小長井、杉山、高橋、早川、矢下
  4.  参加者 6グループ、17人 

 概要 

散策】 当初は8グループ26名の応募があったが、雨が降りそうな天気だった影響もあり、当日になり2グループのキャンセルが出てしまった。 特に早朝は荒天が予想されたので、参加者に事前連絡し、開始時刻を当初の予定より1時間遅くして実施した。 幸い開始時にはちょうど雨も上がり、支障なく森の散策を行うことができた。 全体を4班のグループに分け、各班に2名のインストラクターを配置し行った。 事前にプラケースやビニール袋を配布し、散策しながら顕微鏡で観察したい材料を集めてもらった。

 各班とも子連れの家族だったので、散策では虫集めが中心になった。 幸運にも雨が上がったので、子ども達は虫捕りに夢中になった。 髙山には初めて来たという家族も多かったが、中には何度も来たことがあるという人もいた。 開始時間が遅く散策の範囲は限られてしまったが、多くの班は髙山の池や中間展望台を訪れた。 途中でモリアオガエルの卵塊を見たり、展望台ではベンチの下のアリジゴクの巣を掘り返してみたりした。

 普段なら散策しながら樹木の解説に時間を割いて、花や実をじっくり見てもらったり、樹木毎の特徴的な匂いを嗅いでみたりしてもらうところだ。 実際ここにはクロモジが沢山生えていて、その爽やかな香りを体験して貰うのは定番の内容になっている。 ガイドするインストラクターはそれぞれの持ち味を生かして、樹々の特徴や生態、自然の不思議の解説などに努めた。 しかし今回は顕微鏡観察用の試料集めが目的なので、昆虫などの生きもの採集がメインになった。 子ども達の関心もどうしてもそちらに傾いてしまう。 短時間の散策だったが、結局チョウやカマキリ、バッタ、センチコガネなどの昆虫に留まらず、ヤマアカガエル、アカハライモリ、サワガニなどの小動物も獲物になった。 アリジゴクやダンゴムシ、ミミズまでもが試料容器に集まった。

【顕微鏡観察】 午後のイベントは、できる限り採集した材料を観察できるように、開始時刻を15分早めて行った。 顕微鏡を使った生きもの観察は20倍の実体顕微鏡にプロジェクターを接続し、顕微鏡映像をスクリーンに投影して皆でそれを観られるようにした。

 最初に「森の恵」の前で採取したサクラの葉の葉柄を投影すると、まるでぼた餅のように丸々とした蜜腺が映し出された。 「何、これ?」といった感じで、初めて観る蜜腺の拡大映像に参加者の目が引きつけられた。 そこですかさず蜜腺の役割を説明し、自然の仕組みの一端を知ってもらった。 その後は、子ども達が採取した材料を順番に顕微鏡で観察した。 子ども達は小さな昆虫以外に、大きなミミズやカエル、サワガニまで持ってきて、それを観たいと言う。 顕微鏡のステージに載せても大きすぎてピントが合わず、子ども達の希望をかなえるのに苦労した。 それでも体の一部の拡大画像が投影されると、「わーっ」とどよめきが上がった。 生きものの身体の構造は拡大して見ると初めてわかることも多く、大人でも興味深かった。

 多くの子どもが昆虫などの動物を採集してきていたが、小さなコケを採取してきた女の子もいた。 地味なコケを拡大して見ると、鮮やかな緑色の花が咲いているように見え、まるで別世界を見るようであった。 毛むくじゃらで恐ろしそうなハエの脚、注射針のような蚊の口吻や鉤爪のついた脚先、虹色に輝くアブの複眼など、拡大して見ると普段目にする身近な虫たちの違った姿が見えてきた。

 今回観察した生きものは、カ、アブ、ハチ、モンシロチョウ、ダンゴムシ、センチコガネ、アブラムシなどの虫類やアゲハの幼虫など、それにコケ、アザミの花、グミの葉の鱗状毛や星状毛など植物体の一部であった。 虫類と違って植物の説明などには子ども達も少し飽きてきたようだったので、最後に吸血前と吸血後のマダニを観てもらった。 特に吸血してグロテスクになったマダニの姿には、会場から「ウワ~」という声が上がった。 目を背ける親もいて反応は様々だったが、こうしたものには興味を示す子どもが多かった。 ダニの口器を示しながら、自分でダニを取り除く時の注意事項も説明した。 もっと時間があれば、土中の微小生物や淀んだ水中に蠢く微生物も見て欲しかった。 ただそれにはもう少し倍率の高い顕微鏡も欲しいところだ。 今回は手軽な低倍の実体顕微鏡観察だったが、それでもこうして肉眼では観ることができない生きものの姿を観察したことで、生きものに対する興味も深まったのではないかと思う。  

詳しくはこちら ⇒http://shinrinshizuoka.com/wp-content/uploads/2024/06/髙山実施報告(顕微鏡)202406.pdf

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