講師派遣・実施報告(スズガクSDGsイベント・自然観察)

  1.  実施日時   令和7年11月30(水) 10時~12時30分
  2.    実施場所  静岡市駿河区 県立美術館周辺の森
  3.    実施主体  学校法人鈴木学園
  4.  派遣講師   NPO森林インストラクターしずおか
          • 青野、小久保、小長井、佐野、矢下
  5.  参加者 鈴木学園系列・専門学校: 学生 、教員 、保護者等 合計 34名

概要 

  昨年もこの専門学校から自然観察実習のガイドの委託があり、今年もスズガクSDGsイベントと称して、同様なガイドの依頼があった。この一連の行事として10日ほど前には動物学校生の観察会をガイドしたが、今回は看護や料理の専門学校生も含む参加者が対象だ。休日ということもあって、少数ながら父兄の参加もあった。

今回は広範な専門分野の学生が対処応なので焦点を絞りにくいが、今回も観察のテーマを「生物間には様々な相互作用があることを踏まえて、植物が子孫を残すための戦略を知る」とした。秋なので、種子散布の方法を中心に植物と動物や昆虫など他の生物との関わりを知ってもらおうということだ。

 自然観察の場所としては、昨年と同様に県立美術館の周辺の森で行うことにした。ここには散策路が整備されており、樹木の種類も多いため植物を観察するには適したコースである。参加者には5班に分かれてもらい、それぞれに1名ずつのインストラクターがついて、樹木を中心とした植物を観察しながら班ごとに散策路を回った。

 この時期には色々な木の実が見られるので、種子散布の方法を学んでもらうには都合が良い。赤や黒に熟したクロガネモチ、トウネズミモチ、クスノキ、ウメモドキ、エビヅル、アオツヅラフジ、ヤマボウシなどの果実で主に鳥による種子散布の例を、またアラカシ、コナラ、スダジイなどの堅果で動物による貯食行動に頼る例を、そしてユリノキ、イロハカエデ、ヤマノイモなどでは翼果の現物で風散布の例を見てもらった。

 植物に親しむ上で、五感を使って触れて貰う事も大切だ。単に見るだけでなく匂いを嗅いだり、触って見たり、また時に口に入れてみる味覚体験も記憶に残るものになる。この時期にまだ僅かに実が残るアケビやヤマボウシが格好の体験材料になるのだが、おそらく普段こういう事に馴染みのない学生達にはちょっと敷居が高かったようだ。匂いの体験では、クスノキ科の葉やトベラ、クサギ、更にはカツラの落ち葉などがよい材料になった。また観察行の中では個々の植物が、それぞれの方法で種子散布や花粉媒介のために動物や鳥、昆虫などと深く関わっている事例を紹介した。こうした観察を通じて植物達の生活戦略の巧みさに驚いてもらったりして、自然の奥深さを学ぶひとときを提供できたのではないかと思う。

 観察行を終えた後で、30分程の座学も行った。植物の生存戦略に関する内容のうち、植物同士のコミュニケーションや他の生物との共生関係の事例を紹介した。先ず「植物同士は会話している」と題し、食害を受けた植物が揮発性ガス(VOCs)を通じて周囲の仲間に危険信号を発している事例をいくつか紹介した。また地中に広がる菌根菌のネットワークを通じて、周囲の植物との栄養のやり取り、更には何らかの化学物質を使った信号伝達もしている事例なども紹介した。 

 他の生物との共生関係について、種子散布ではリスやカケスがドングリの散布に寄与している事例を紹介しつつ、ドングリの「豊凶」が何故起こるのかを解説した。また発芽抑制物質を含む液果の果肉が動物に捕食される事で、結果的に広範囲な種子散布が実現する事を話した。花粉媒介に関しては、植物がポリネータに花粉を委ねる上でそれが具体的にどのような方法で行われているのかを解説した。

詳しくはこちら ⇒http://shinrinshizuoka.com/wp-content/uploads/2025/12/2025.11.30-スズガク観察会-実施報告書.pdf


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