高山・市民の森 森林教室実施報告<アオダモ蛍光ペンとムクロジ石鹸>
- 実施日時 令和4年6月12(日) 10時~14時30分
- 実施題目 森の散策と樹木の不思議体験(アオダモ蛍光ペンとムクロジ石鹸)
- 参加講師名 森林インストラクターしずおか
- 主担当: 杉山、大石
- アシスト: 青野、越智、小久保、小長井、高橋、矢下
- 参加者 7家族 20人 (大人12人、子ども8人)
- 概要 午前中はいつも通り参加者を4班に分け、それぞれに2名ずつのインストラクターを配して、森の散策を行った。午後のクラフトの部では、「樹木の不思議な性質を体験してもらう」というプログラムをやってみた。具体的には「アオダモ蛍光ペン」と「ムクロジ石鹸」という内容で、当教室では初めての企画だった。
- 【森の散策】
今回は、初めて高山・市民の森を訪れたという参加者が多かったので、なるべく判り易い植物を中心に、香りや味など五感で感じてもらうような解説を心掛けた。また、午後の部ではアオダモを使った体験プログラムを用意していたので、散策の中でアオダモは必ず見てもらうようにした。
”森の恵”のすぐ近くにあるクリでは、その雄花と雌花を観察した。雌花には既に毬もでき始めており、それがやがて栗に成長する事を知って子ども達は驚いていた。隣のクヌギでも、その未熟な果実も見てもらった。五感による体験としては、例えばキハダの黄色の内樹皮とその薬効について説明し、実際に囓って苦みを体験してもらった。またクロモジとミズメでは、定番の香り体験をやった。ハンショウヅルではその果実の中を見せながら、風によって種子が飛散することを説明し、植物の種子散布について理解を深めてもらった。
植物だけでなく、動物の痕跡探しもやった。例えばシカの角研ぎの痕を見たり、シカの糞探しもしてみた。シカとカモシカの糞の仕方の違いについても解説した。
今回は参加の子ども達が5歳以上だったので、どの班も山頂を目指して歩いた。山頂からの景色は、富士山こそ見えなかったけれど、安倍山稜から伊豆半島など広大な風景に満足していただけたようだった。下りは、コアジサイの甘い香りを感じながら、”森の恵”へ戻った。
- 【植物の不思議体験】
水を入れたカップにアオダモの枝先を入れ、部屋を暗くしてからそれをマジックライト(UVライト)で照らした。青白く光るものがモヤモヤと滲み出す様子に、皆一様に驚きの声。参加者にアオダモの小枝とカップを配り、自身で同じ事を体験してもらった。次いでアオダモの枝先を水に浸し、それをペン代わりにして白紙に絵や文字を書いてもらう。遮光のために用意した段ボール箱の中でそれをマジックライトで照らすと、絵や文字が青白く浮かび上がるので、あちこちで歓声が上がった。最後に「蛍光物質とは」、「身近な蛍光物質」などについても解説し、チョッピリ知識を増やしてもらった。
ムクロジ石鹸ではまずムクロジの実を潰し、果皮と種子に分けてもらう。ムクロジの種子は羽根つきの羽に使われること、「無患子」(ムクロジ)と言う名は羽根つきの遊びに関係していることを解説した。次にムクロジの果皮を水の入ったペットボトルに入れ、激しくシェイクすると見る見るうちに泡立ち、子ども達は大喜び。そこにクレヨンで落書きした白い布を入れて、ムクロジ石鹸での洗濯に挑戦してもらった。昔はこんな方法で洗濯していたことを知って、先人の知恵に感心したようだった。同時に、植物には自分たちの知らない凄い能力があるんだ、ということを理解していただけたと思う。
詳しくはこちら ⇒ http://shinrinshizuoka.com/wp-content/uploads/2022/06/高山実施報告書(アオダモの蛍光ペン)_202206.pdf