第199回・森で遊ぶ会(宝永火口)実施報告

日時: 2023年8月21日(月) 11時~14時30分(現地)

場所: 富士山・富士宮口五合目

参加者: 22名(静岡市 16、藤枝市 6)

担当幹事:  佐野、大石、

アシスト会員: 青野、小久保、小嶋、小長井、杉山

実施状況: 

 富士山五合目から宝永火口を周回する観察を昨年企画したが、悪天候により中止になった。そこで今回、リベンジを期して再びこれを企画した。この時期、インバウンドの増加による海外からの登山者で混雑も予想されたが、富士宮口の五合目は思った程には混雑していなかった。しかし、登山道ですれ違う人はほとんどが訪日外国人だった。

 西臼塚駐車場から富士山五合目駐車場までの間に、バスの車内で「富士山」に関する講話を行った。標高が上がるとともに森が変わっていく様子を車窓から眺めてもらいながら、富士山の成り立ちや、登山の歴史、気象、高山植物が少ない理由等を解説し、事前に富士山への理解を深めてもらった。  

 午前中は富士宮口五合目駐車場から登山道を六合目小屋まで登り、その後は登山道を離れて水平な遊歩道を宝永第一火口縁まで歩いた。ここでは森林限界を越えた火山荒原に生きる植物を観察しながら、そこに森が形成されていく様子や、過酷な環境下で巧みに生きる植物達の知恵を見てもらった。その後第一火口底まで行って昼食をとる予定だったが、霧が発生して視界が悪くなってきた。予報では午後から局所的に雨という懸念もあったので、とりあえず第一火口縁で昼食をとることにした。しかし少し経つとその霧も消えて、雄大な火口の全景が見えてきた。そこで宝永山や火口壁を見渡しながら、その地質の様子や火口底に拡がってゆく植物パッチの様子を見てもらった。ここは富士山の噴火の歴史を知ると共に、火山荒原にだんだん植物が侵入してゆく様子を見るのにはうってつけの場所だ。

 午後は第一火口縁に沿って五合目付近まで下り、今度は樹林帯の中の遊歩道を通って五合目駐車場に戻った。ここでは午前中とまた違った森林限界直下の亜高山帯森林の様子が見られる。こうした環境に特徴的なシラビソやダケカンバ、それにミヤマハンノキやミヤマヤナギなどを観察しながら歩いた。シラビソの森に特有のカラメル香を感じたり、林床の小さな高山植物の花々を愛でたりしながら、午前中とはまた違う趣の観察行になった。また今回は植物だけでなく、蝶や野鳥にも注目してもらった。例えば、キベリタテハの発生時期でもあったので、道中でその姿を何度も観ることができた。また五合目駐車場付近では、タイアザミに訪花するクジャクチョウも観ることができた。その艶やかな姿に皆が歓声を上げてカメラを向けるなど、普段とまたひと味違った観察も楽しんでいただけたようだった。

詳しくはこちら ⇒ http://shinrinshizuoka.com/wp-content/uploads/2023/08/森で遊ぶ会(宝永火口)実施報告書-.pdf


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